今回は長崎県西彼杵郡長与町の、JR長崎本線(長与支線)長与駅前のモニュメントを紹介します。この駅は旧線(長与支線)の中間駅では一番規模が大きく利用者も結構多いため、長崎方面から来る一部の列車は当駅で折り返しとなります。

まずは駅東口を出てすぐのところにある、「平和萬歳」と書かれた巨大な石碑です。設置は「平成十七年八月九日」で、長崎県出身の書道家である故・大浦澄泉氏によって書かれたもののようです。石碑の麓には説明用の小さな石碑が用意されており、「原爆被災60周年記念碑」というタイトルと、実行委員の名前などが書かれていました。確かに平成17年は原爆投下から60周年であり、8月9日は長崎の原爆投下日ですね。

次も大浦澄泉氏による文が書かれた石碑なのですが、「明日をひらく一日一善」と書かれているものが、ロータリー内部・駅舎正面の位置に設置されています。しかしこの石碑、裏面を見ると、「勇気こそ 地の塩なれや 梅真白」という、俳人・中村草田男の俳句が書かれています。

足元の石碑には、裏面の俳句についての説明と、設置者が長与町社会福祉協議会であることが記されています。それによればこの俳句は、中村草田男の教え子たちが戦時下の学徒出陣間近のときに、「かどで」に際してはなむけたものとのことです。

次は蒸気機関車の動輪なのですが、明確な拠出元の車両の記載はありませんでした。しかし動輪の前には「原爆救援列車」の説明があり、そこにはC51形蒸気機関車の画像があったので、C51形の動輪なのかもしれません。ちなみに原爆投下時に長与駅には列車が抑止していたようですが、その後ぎりぎりのところまで入線して負傷者を収容し、諫早、大村、川棚などの病院まで計4本の列車を運転して運んだそうです。なお、説明の右下にはその様子を描いた寺井邦人氏の「響け汽笛よ」という絵画が掲載されていました。

今までは原爆や戦争関連のモニュメントでしたが、ロータリーには1点、毛色違いのものも設置されていました。それが上の画像の「ミックン」というゆるキャラの像です。「
ミックン」は、長与町の町制施行30周年記念として1999年に登場したキャラクターで、長与町の特産品のみかんをモチーフにしています。ミックンだけに、誕生日は3月9日・・・。ちなみにキャラクターの使用は、長与町の許可が下りれば無料でできるらしく、着ぐるみの貸し出しも行っているようです。

最後は駅西口に唯一設置されている、 吉無田獅子舞の像です。獅子舞よりも字が目立っている気もしますが、設置は長与駅周辺土地区画整理事業の竣工記念として設置されたものらしく、事業の概要のプレートもありました。ちなみにこの獅子舞は文化文政のころ、当時70戸ほどしか住人がいなかった吉無田地区において、少人数で踊れるものとして矢上・中尾地区から伝承されたことが始まりであり、獅子が悪魔を払い、五穀豊穣、家内安全、お家繁盛を守るといわれているそうです。この踊りは毎年10月に摩利支天神社に奉納するほか、長崎くんちにも出演するなどして、現在も継承されているそうです。
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- 2018/01/30(火) 18:00:00|
- 駅前モニュメント
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